年齢を重ねるにつれて、口臭を気にする回数が増えてきていませんか?
特段においの強い食べ物を口にした訳でもなければ、適度に歯磨きもしているのに、なぜか自分の口臭が強く感じてしまう。これは「親知らず」が原因になっているかもしれません。
今回は、40代〜50代が親知らずを抜歯する理由の一つである「口臭」に着目しながら、親知らずと口臭の関係性、その予防策についてご紹介していきます。
口臭の原因としては、大きく分けて「生理的口臭」と「病的口臭」があります。それぞれの原因についてもう少し掘り下げていきます。
●生理的口臭
起床時や空腹時、緊張時には唾液の分泌量が減少するため、口内細菌が増殖して嫌なにおいを作り出してしまいます。また、女性に多いのがホルモンバランスの変化に伴う口臭です。月経時や更年期になると大きく体内のホルモンバランスが変化し、唾液量が減ってしまうため、口臭が強く出てしまうことがあります。
●病的口臭
内臓系の疾患による口臭の変化もありますが、ほとんどは歯周病や虫歯といった口腔内で起こる疾患が原因になります。
歯周病になると、歯と歯茎のあいだに隙間(歯周ポケット)ができ、そこで細菌が繁殖しやすくなります。歯周ポケットができてしまうと、歯磨きだけでは届かない部分に食べかすや歯垢が溜まってしまうので、その部分からどんどん細菌が繁殖してしまいます。次第に炎症によって歯茎が化膿してさらに強いにおいを発してしまうケースもあるのです。
また、虫歯も口臭の大きな原因となります。虫歯ができてしまうということは、そもそも食べかすや歯垢が口腔内に溜まっている状態です。そこから虫歯ができ、歯の神経が腐敗してしまうことも口臭が強くなる理由として挙げられます。
では、親知らずがあることで口臭がきつくなるのはなぜなのか。
その理由は、親知らずまできっちり歯磨きすることは難しく、どうしても食べかすや歯垢が溜まってしまうからです。親知らずは一番奥に生え、斜めに生えていたり途中までしか顔を出していないことも多いため、綺麗に汚れを落とせるよう歯磨きするのは非常に難しいです。
それにより、歯周病と虫歯両方を発症してしまうケースも少なくありません。親知らずが虫歯になったり歯茎が歯周病になることで、その周辺の歯にまで悪影響を及ぼしてしまいかねません。
虫歯や歯周病の予防はもちろん、気になる口臭を抑えるためにも、親知らずは生やしたままにせず抜歯することが重要になるのです。
実際に親知らずを抜くとなった際に、気になるのは年齢のこと。親知らずは20歳前後に生えることが多く、その時期に抜歯する人も多いです。そのため、40代や50代になってから抜歯をすることに抵抗を覚えてしまう人も少なくありません。
しかし、親知らず抜歯に対する正しい知識を持っていれば、決して難しいことではないということがいえます。
1:抜歯後の回復力に大きな差はない
親知らず抜歯による回復力の違いについては、特段気にする必要はありません。しかし、抜歯するにあたり、親知らず周辺で歯周病が進行している場合などは、回復時間が長くなることもあります。
要するに、年齢に伴い「歯周病にかかっているリスクが高くなる」ために注意が必要なだけで、年齢というよりも口腔内の状態次第で何歳であっても注意が必要であることに変わりはありません。
2:持病があるかどうかで治療時・治療後の対処が変わる
歯科以外で通院が必要な持病を持っている場合は、必ず事前に歯科医師へ相談する必要があります。特に、糖尿病や心臓・循環器系の持病や不調を抱えている方は、抜歯後の回復が遅くなったり感染症に罹患するリスクが高くなります。
こちらも年齢を重ねるにつれて持病をもつ人が多くなるために、どうしても若年層より抜歯の危険性が高いと考えられがちですが、要するにその人自身の健康状態次第で抜歯時のリスクが変わるということになります。
どちらにせよ、親知らずが原因で何かしらの悩みを抱えている方は、いずれ抜歯が必要になってしまうことが予想されます。その時に歯周病が進行してしまっていては、よりリスクが高くなるばかりで放置することにメリットはあまりありません。不安な方は、親知らずをこのまま残し続けることのリスクと、治療するリスクについて歯科医師としっかり相談することをお勧めします。
親知らずを抜歯するだけでも口臭の原因はかなり取り除くことができますが、抜歯後に間違えたケアをしてしまうと、口臭が強くなってしまう恐れがあります。
親知らずを実際に抜歯した後に注意すべき口腔ケアは以下の通りです。
1:傷口をブラッシングしないこと
抜歯後の歯茎は傷口のようになっており、傷口を強く刺激してしまうと、そこから細菌が入って炎症を起こしてしまう恐れがあります。傷口を歯ブラシで刺激してしまったり、強い力でブラッシングするなど、必要以上の口腔ケアは控えてください。
2:多少の出血は気にしないこと
抜歯後は出血が止まるまでしばらく時間がかかります。出血によるにおいが気になって患部を触ったりうがいを何度も何度もしたくなるかもしれませんが、それをすると傷口にできる血餅(かさぶた)が剥がれてしまい、いつまで経っても治りません。完全に止血するまでは気長に待つようにしてください。
親知らずは、口臭をきつくする要因をたくさん持っています。また、年齢のリスクというよりもその人の口腔環境の悪さが、抜歯のリスクを上げてしまいます。
親知らずに関する悩みをもっている40代〜50代の患者様は多くいらっしゃいますので、口腔内に違和感を感じていたり、口臭が気になるという方は、まずは気軽に歯科医師へご相談していただくことをお勧めします。
歯の健康状態やご自身の体調に合わせて、最適な治療を行い、健康で清潔な口腔環境を維持し続けてくださいね。
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